Museum of Natural History, Tohoku University, Sendai, Japan
ツアーコース
「地球を構成する岩石鉱物」(1)
地球を構成する岩石鉱物
岩石は二種類以上の鉱物の集合体からなり、地球の地殻、マントル、隕石さらに月や火星なども、この岩石からできています。岩石を地球化学的に調べたり、鉱物を結晶学や物性学の見地から研究することによって、地球の歴史を科学的に解明したり、鉱物の成り立ちを明らかにすることができます。
最も身近な鉱物は石英(水晶)でしょう。石英が柱状の規則正しいきれいな形をしておれば、それを水晶と呼びます。さらに紫色であれば紫水晶といいます。きれいかどうかは考え方の問題です。形が不規則でも紫色の石英を紫水晶と呼び、紫石英とは言いません。これらの本当の呼び名は石英であり、水晶や紫水晶はあだ名のようなものです。

鉱物は規則正しい形態から成っています。例えば、上図は水晶の形態です。水晶の化学成分はSiO2(珪酸)ですが、Si-Oの結合は水晶の長い方向と平行にラセン階段のようになっています。そのラセンの方向によって、右水晶と左水晶の二種類のものが生じます。その右と左は図にも示したように結晶の形態にも現れています。両者のできる確率は同じです。
石英が573℃以下で生じると、あの長細い水晶になります。この水晶は熱水脈やペグマタイト脈の空洞(晶洞)に産します。これを低温型石英と呼んでいます。一方、573℃以上で生じると、算盤玉のような形になり、これを高温型石英と言います。地下のマグマは573℃以上ですから、そこで生じた石英はすべて高温型です。高温型石英は火山灰とともに噴出するので、火山灰(凝灰岩)の中にたくさん含まれています。仙台付近は火山灰などからできていますから、雨水の流れ去った後の粗い砂を手にすると、ガラスの破片のような高温型石英を見ることができます。宮城教育大学西方(郷六)の崖には直径1cm程度の大きな高温型石英が見られます。高温型石英としては大きい方です。
鉱物の結晶構造内には化学結合の強い面と弱い面があります。弱い面で割れる性質をへき開と言います。雲母にはSi-O結合の極めて強い方向と大変弱い方向があります。その強弱の差が大きいために、雲母には極めて顕著な(完全な)へき開があり、指で一枚また一枚と雲母片を剥がすことができます。石英ではSi-O結合の強さの方向による違いは小さいのです。そこで石英には特別に割れやすい方向がないと考えられており、高等学校の地学の教科書のみならず、大学の教科書でも水晶にはへき開は無いとされています。しかし、水晶にもへき開はあります。方向による割れ易さの違いは小さいが、ゼロではありません。水晶を加熱した後、水に入れて急冷すると、水晶の形態に見られる結晶面と平行にひび割れができます。透明な水晶を光りに透かして観察すると、薄くて平板なひび割れが見えます。これらはへき開で生じた割れ目です。
地下にはマグマで数百度に熱せられた熱水がたくさん存在します。分散している鉄や銅、金などの金属資源はこの熱水で溶けて運ばれ蓄積していきます。海底には鉱石からなるチムニー(煙突)と呼ばれる特殊な形態の水路が見られ、海洋底から熱水が吹き出しているのが分ります。
東北地方には黒鉱と呼ばれている鉱石からなる鉱床(鉱山)がたくさん分布しています。この黒鉱も海底の熱水活動で作られたものと考えられています。時が経つとともに海底で作られた黒鉱鉱床が堆積岩や火山岩などに埋れていきます。これが隆起して地表近くで見られるようになったのが黒鉱鉱床です。その他、マグマが地殻に貫入したときも、地下水が温められて熱水となり、鉱床が作られていきます(下図)。

それでは宇宙からやって来る隕石とは、一体どんな物でしょうか? 上にも述べたように、隕石も岩石です。しかし、隕石を詳しく調べると、地球上で見られる岩石と少しようすが違います。隕石にもいろいろな種類がありますが、とりわけ変っているのは隕鉄です。隕鉄は鉄とニッケルの合金です。つまり、金属なのです。地球上の自然界では、鉄とニッケルの合金は見られません。製鉄所で人工的に作らなければ、そのような合金は作り出せないのです。しかし、宇宙空間にはそのような合金が浮遊しています。
隕石の中には地球上の岩石とあまり見分けのつかない物もあり、それを石質隕石と呼んでいます。さらに、石質隕石と隕鉄の合いのこのような物もあります。岩石と金属を混ぜ合せたような物で、石鉄隕石と呼ばれています。
何の変哲のない岩石のような石質隕石も、実はとても大事なことを人間に教えてくれる貴重な研究試料なのです。「放射年代測定」という方法を使って隕石の年代を測定すると、隕石は46億から47億歳という年齢であることが分ります。これは地球上で見られるどんな岩石よりも古く、太陽系ができた頃に生まれた物なのです。すなわち太陽や地球、それに他の惑星と同じか、それ以上も古いのです。隕石を詳しく分析したり顕微鏡で観察したりすると、太陽系のできた頃にどんなことが起ったかが分ります。つまり隕石は宇宙からやってきたタイムカプセルなのです。
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