Museum of Natural History, Tohoku University, Sendai, Japan

ツアーコース

「外邦図」(1)


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外邦図


 地図は、地球表面各部分の自然や人間活動のようすを伝える最も基本的な情報源で、さまざまな調査・研究に活用されています。人々が自分達の生活空間について知るためにも、知らない土地のことを学ぶためにも、よい地図があれば便利です。そこで各国は国土をわかりやすく正確に表示する地図を作ろうと努力しています。
 同時に、国家が領土的野心を持つときにも、地図が重要な役割を果してきたのは、否定できない事実です。日本は明治中期以降、国内の地図の整備を進める一方、国外の戦略上注目していた地域の地図を作成してきました。標本館に展示しているのは、旧陸軍参謀本部陸地測量部が、占領地などで公然と測量したり、係争地などで秘密のうちに測図したり、あるいはいろいろな手段で入手した外国製の地図を複製する、というような方法で作成した、北はアラスカから南はオーストラリアまで、東は北米(本標本館は所蔵していない)・ハワイから西はインド・パキスタン・アフガニスタンまでの広い範囲にわたる地図の一部です。これらは一括して「外邦図」とよばれ、軍事極秘とされていましたが、1945年(昭和20年)の敗戦時に焼却処分される際、その一部が緊急避難のような形で持ち出され、地理学などの研究資料として役立てるため約十万枚が東北大学に保存されてきました。ほかに国立国会図書館などにも同様の地図が所蔵されています。
 これらの地図は、当時の各国の地図作成技術を知り、原図作成時の植生や土地利用などを読取って環境変化を解析するための資料とし、また現在詳細な地図の入手が困難な地域について衛星画像ではわかりにくいこまかな地形の特徴を知るなど、地理学とその関連分野の基礎研究を進める上で貴重なものです。同時に、軍国主義を反省し、地図情報が二度と極秘扱いされないよう、人々が各種の地図類を駆使して、国土のそして地球表面の真の姿を知る自由をさらに広めるための象徴としても重要な意義があると考えられます。


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